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『潰し屋』 第4話 ~開店、そして~

 「おはようございます!」「走らないようにお願いします!」午前10時。入口に並んだ店員から元気のいい挨拶と、店内を走らないようにという注意が交互に飛び交う。スロットへ向かうのは先頭の5人集団、その後ろの白シャツジーンズのプロ、そして数人の見慣れない顔に続いて僕。全員が、店員の前を通りすぎた後は小走りになりお目当ての台へなだれ込む。僕は狙い台とも言い切れないが、傾向から予想した「カド3」の台を押さえにかかる。「エヴァ、エヴァ…」僕は呪文のようにエヴァと呟きながら、エヴァンゲリオンのシマへ向かった。エヴァのシマには5人集団が全員集合していた。一番先頭に並んでいた赤いジャージの男が指示を出す。
「いつも通りカド避けて、1台ずつ間空けて座れ」
そう言うと、その赤ジャージが入口に近い方のカドから2番目の台へ座り、1台ずつ間隔を開けて座りだした。エヴァは計10台。彼らはまばらに座ることで、エヴァすべての台を監視しつつプレイができる体制をあっという間に作り上げた。

 僕はその様子を見ながら目当てのカド3に座ることを躊躇した。赤ジャージの隣だからだ。こいつは、この乗り打ち集団の中でも相当タチが悪い。足を広げて座るマナーの悪さ、レバー強打、台を叩く、他の人間などお構いなく仲間へ大声で話しかける…など。こいつの隣で1日プレイすることになったら、相当な苦痛を伴うだろう。そういう感覚を他の客に持たせることも彼らの作戦かも知れないが、だからと言って、それに屈しないでプレイするには、何らかの「保障」がいる。確実に高設定…それも5~6か、天井間近などの何らかの旨みがある状態でないと、到底ガマンできそうにない。結局、僕は絶好のチャンスだったエヴァのカド3を捨てて、青ドンへ向かった。青ドンのシマはエヴァの裏側にある。ここには白シャツジーンズのプロがいた。青ドンは計5台。同じ並びで、景品カウンターに近い奥側の方には南国娘。青ドンの背向かいにスパイダーマンが5台、同じ並びで仮面ライダーが5台。白シャツジーンズは青ドンのカド台に座り、ボロボロのノートを取り出してペラペラとめくり、何かを確認する。そして、データ表示器で昨日、一昨日の稼動データを簡単に見てから貯玉カードを挿入し、コインを借りた。そしてコインと煙草を下皿に置き、席を立った。おそらく、いつものように他のシマの見回りであろう。僕は、その様子を確認してから、青ドンの入口側から3台目…青ドンの丁度真ん中の台のデータ表示器で稼動状況を確認した。昨日、一昨日…と順にさかのぼり、5日前までのデータを見た。あくまで稼動ゲーム数とボーナス回数のみの判断だが、4日前に【稼動5800G BIG20回・REG11回】と合算値からいって設定Hとも見れるデータが残っている。その他の日は稼動が2000~3000Gで判断がつかない。しかし、少なくとも直近3日間は派手なデータも無い。そして、何より前日の最終ボーナスがREG。REG後何ゲーム回したかは分からないが、総回転数と、ボーナス履歴を確認して計算すると…恐らく100G程度は回している。天井を視野に入れるにはちょっと遠いが、最悪天井まで我慢…という目安もできる。決まった。僕はこの台に煙草を投げ入れ、1万円札を両替するために景品カウンター横の両替機へ向かった。チラ、と横目で見ると、エヴァのシマでは赤ジャージが足を投げ出して乱暴にレバーを叩いていた。

 財布には3万5千円。千円札が5枚あるが、僕は朝イチは必ず万札を崩して打つようにしている。自分の投資額を分かりやすくするためだ。この店の貯玉カードは持っているが、それは端玉を貯めているだけだ。前に1度だけ、ポイントを景品に換えたことがある。そのときは中途半端なポイント数で、中途半端な小型空気清浄機と交換してしまった。写真で見る限り、なかなか立派に見えたが…ただ、活性炭のついたフィルターで空気を吸い込んでは吐き出すだけの機械。音も静かとは言えず、使い出して3日でお蔵入りした。それでも、この手のカードは活用すればそれなりに使いでがあるだろうし、5.5枚交換とはいえ交換ギャップが発生する状況で長く打つには、やは貯玉でのプレイが理にかなっているのだろうが…僕はその日その日でホールを変えるので、大きな単位での貯玉はしない。

 とりあえず、一万円札を2枚崩す。これだけあれば、青ドンなら十分だ。仮に天井まで一直線の状況ならば、もう一度両替もあり得るだろうが、その頃には天井を抜けた後を考えて、再度各シマを見回りしなければならないだろう。僕は両替を済まし、景品カウンター奥のトイレに入った。落ち着いてプレイしたかったので、先に用を足しておこうと考えたのだ。トイレに入って、小便器の前でズボンのチャックを下ろそうとした瞬間、ポンポン…と2回ゆっくりと肩を叩かれた。振り返ると、昨日の男…そう、山田太郎がいた。
「どうして、こんな生活を続けているんですか」
そう言うと、山田は昨日のやわらかい表情とは異なった、非常に厳しい表情で僕を睨みつけた。僕は、一瞬身の危険を感じてしまうほどの彼の態度のせいで、チャックを下ろそうとした手を股間から離せないまま、小便器の前でこわばって固まってしまった。

(第5話に続く…)

★最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。1~3話は、左のカテゴリ欄『潰し屋』からどうぞ★
★今回も、あまり話が進みませんでした…。面接などが立て込んで、イマイチ書けず…です。★
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コメント

こんばんは。季節外れの蚊に刺されてしまい、完全に目が覚めたので変な時間に返信します(;´д`)
コメントの件は、こちらこそ偉そうにすみませんでした。
最初のコメントの件は、もう気にしていないですからね。
キッカケは何にせよ、こうやってブログを覗きに来てくれる事が何よりです。
  
僕の言ったことは、あくまで参考程度に…
まこっちゃん♪さんのブログなんだから、思ったように書けばいいと思いますよ。
コメントが沢山書き込まれるのは、ある意味で人気の証のようなものですし。
実は、今のままでもいいのかな…?なんて思ったりもしました。
個性を消しちゃ意味がないですしね。
 
今、まこっちゃん♪さんのブログに来ている「荒らし」も、いつかかけがえの
無い読者さんに変わるようになればいいですね。
丁寧に、コツコツと対応していれば…そんな日も訪れるかもしれません。
 
僕にとって、このブログは実はとても面倒なんです。
色々気を使うし…何より時間がかかる(苦笑)
でも、今となっては僕もやみつきです。
読者さんがゼロになるまで、続けたい…今は、そう思ってます。
 
相変わらず僕の長文癖は小学生以来直ってません。
偉そうに言ってる僕も、未だこんなもんです。進歩がない。
でも、文章がどうであれ、読み手が何かを感じ取れる…
または、単に面白かったり、情報源になったり。
それだけでいいんじゃないかと。そういうシンプルな発想も大切かなと思います。
 
反論は大歓迎です。
返信するのは得意ですから(苦笑)。コメント欄の存在意義は、そういう部分にもありますし。
また、良かったら覗きに来て下さいね。

投稿: 落人(まこっちゃん♪さんへ) | 2008年10月21日 (火) 03時47分

長文のコメントありがとうございました。家庭の事情により最近忙しくてなかなかコメント書けなくてすいません(o_ _)o
落人さんのコメントを読んでまず思ったことが反論っぽいことばっかになってしまいました・・・。本当はそんなつもりじゃないんですが、書かせてください。。

まず言葉使いについて。落人さんはスイカの目押しの文について、言い方を変えれば良いと言ってましたが、自分は驚きました(;^_^)確かにあの文ならいいと思いましたが、自分は恐らくそこまで発想がいかないと思います。あんな文章を思いつかない自信があります。だけど、気を遣なくちゃいけない場所で気遣いが出来るかどうかということがわかりました。読み手の気持ちを考えこの文章はダメだなってことに気がつくことが大事なんですね。そうすれば文章をいい言い方に変えられないとしても書かなければいいだけですし。

表記の仕方について
自分は読み手からして「明るい」「誰でも馴れ馴れしく」というのを前提にしてブログを書いていました。wが多いのは癖でしたけど、読みなれれば読みやすくなるのかなぁ・・と自分では勘違いしていた(ノД`;)実際はやはり読みにくいのですか?落人さんに言われて初めて気がつきました。
でも、これは落人さんが言っているようにそこが自分の持ち味にしているつもりです。(w以外も含め。)とりあえず、明るく誰でも気軽にコメントを書けるようにしたいのです。あとwも個人的に好きなんで。
たぶん、そこは直せないかもしれません。ただ、今は荒れている状態なので落ち着くまではそれでやってみようと思います。

あと、文章は何度も読み直しています。というより何度も読んじゃいます。自分はやっぱり自分の文章が結構好きみたいです。ついつい気がつけば自分の文章をすべて読み直しているっていうときもありました。それでも、文章が下手だったり読みづらいっていうのはそれが自分の文章能力の限界だと思います。。
(国語と社会は大の苦手で、高2の誰も受験勉強なんてしてないころに模試があったのですが、その時の国語の偏差値は30ぐらいでした。苦笑
あと自分の両親が純中国人っていうのもあって国語の初期能力がひどく低かったですね。ただのいいわけです。笑)
これでもミクシイとブログをはじめてかなり文才はついたほうなんですよ?笑

あと、落人さんに最初にコメントしたときについて。
あの時のコメントはしっかりと自分でも覚えていますよ。あのときは本当にすいませんでしたm(._ _*)m自分はあのとき、通りすがりやでもう落人さんのブログは見ることはないだろうっと思ってあのようなコメントをしました。コメントをしたあとに、落人さんのブログをちょこちょこ読んでいたら、落人さんのブログが面白いと思い再びコメントをしたくなりました。それで今にいたるのです。今ではとても後悔していますが・・・。
あのときのコメントはみんなと同レベですよね。でも、みんなはあのときの自分とは異なり完全な荒らしだと思います。(実際に名前だけを変えて何度も似たようなコメントをしている人がいることがわかりました。)
荒らしは一度とりついちゃったらなかなか取れないので、長い目でみて、色々と治してみます。(記事を変えたりして)


文章まとまってなくてすいません。自分のほうに書くと荒れるのでこっちに書かせていただきます。長々とすいません。

投稿: まこっちゃん♪ | 2008年10月21日 (火) 01時35分

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